水曜日, 12月 06, 2017

眼の健康とPCディスプレイーその2

前回、このタイトルで記事を書きましたが、同じテーマで別のブログ(ブログ「発見の発見」)に新しい記事を書きましたので、こちらからもリンクしておきます。

当該記事の内容というのは、繰り返しになりますが、私が個人的に使っているPCディスプレイで実験的にやってみたことで、27インチ4Kの艶消しPCディスプレイに水溶性のつやだしニスを刷毛で塗ってみただけのことです。この種の塗装を行っている人はすでに沢山いるのではないかと思います。現にディスプレイ用の光沢シートはいろいろと販売されています。しかしスマホやタブレット用ならいいのですがサイズが大きくなると非常に選択肢が少ないばかりか非常に高額になり、また貼るのも難しくなってくるので、あまり普及はしていないように思います。またスマホやタブレット用はつや出しというよりも元々光沢のあるガラスの保護用と考えられていますからね。ということで、現在艶消しガラスのPCディスプレイをわざわざ光沢面にする需要は少ないのかもしれません。それは最初からわざわざ艶消しガラスを使用している製品がたくさんあり、艶消しガラスのメリットが信じられているからでしょう。とはいえ最初から艶消しを望む人だけが艶消しタイプを購入しているとは限りません。製品の色と同様、消費者が選択できない場合も多いのです。私の場合、昨年の初め頃に購入したのですが、最初から光沢ガラスタイプが欲しかったものの、当時は目的の性能と予算との関係で選んだ機種に艶消しタイプしかなかったのです。

というわけで、艶消しにはそれなりのメリットがあると考えられているのは確かですが、では実際に、想定されているほどのメリットがあるのか、またデメリットがどれ程のものなのかについて十分に研究され、最適化されているとは到底思えないのです。 そのような不満から、特に、現在PCディスプレイの艶消しガラスに使われている艶消し処理には大いに問題があるのではないかという疑問から、高価で使い方に難しいところもある光沢シート以外に艶消し方法はないものかいろいろ思案した上、ネットの通販サイトの宣伝や、とくにカスタマーレビューなどを参考にどのような選択肢があるものかを考えたうえで、近くのホームセンターで最も手頃、つまり安価で使いやすそうな塗料製品を見つけて試してみたという次第なのです。そしてその結果は、上記ブログで報告しているとおり上々で予想以上でした。

もう一つ繰り返し強調したいことは、現在の艶消しガラスはメリットよりもデメリットの方がずっと大きいのではないかということです。特に文字の場合に言えることですが、現在の艶消しガラス特有のノイズ感が眼の疲労に及ぼす影響が大きいのではないかということです。個人的にですが、最近に至って年齢のせいも加わり、PC作業による眼の疲労が耐えられないくらいに顕著になってきたため、仕事の将来について不安に思われるほどにさえなっていたところでした。遅寝遅起きという生活習慣の問題もあったようですが、その問題はさておき、眼の疲労が、特にPC画面を見始めて1時間ほど経過するだけで文字が二重に見え始める傾向が顕著になってきていました。眼が疲労するにしてもそのような不快な疲労の仕方に、この艶消しガラスの特殊な効果が関係しているのではないかという疑いを以前から持っていとところ、それに結構根拠があるのではないかという結論も今回の成果の一つです。というのは、上述のとおり、光沢ニスの塗装でディスプレイの使用感が改善した結果、眼の疲労自体が解消したわけではないにしても、今述べたような不快な眼の疲労感、二重に見えるような不快感はなくなっています。

眼の疲労に関してはこの種の問題以外に身体的な健康の問題が絡むことはもちろんです。特に睡眠時間とか遅寝遅起き、また食生活や栄養の面でも努力が必要なことは言うまでもありませんが、このようなディスプレイの問題が、単に明るさとかブルーライトといった問題以外に、潜んでいることは間違いないように思います。

メーカーの方にもこの面で研究と改善をお願いしたいものですが、ただしこの件では安価な塗料を自分自身で手塗りするだけで済むので、それで良いのかもしれませんね。上記のブログでも書いていますが、塗り方が下手でも汚くても効果に問題がありません。刷毛ムラや塗りムラもむしろ手作り感の温もりが加わって、少なくとも自分で塗ったのであれば愛着も出てくるというものです。光沢自体も透明ガラスのきつい光沢に比べて柔らかみがあり、塗装面独特の心地よさがあります。こういった点でも、実に興味深い多様な問題を含んでいるように思います。

月曜日, 9月 18, 2017

目の健康とPCディスプレイ ― 個人的には有機ELに期待したいのだが

眼の健康と視力低下への対処の問題は現代社会が取り組むべき最重要な課題のひとつだと思う。もちろん、言わずと知れた人口高齢化の傾向ともかかわりが深い。端的に言って高齢化に伴う視力の劣化の問題は、がんなどの全身病や体力低下の問題にも増して重要だと思っている。何はともあれ視力さえ維持できれば仕事であれ楽しみであれ、個人を超えたもっと大きな目的であっても、何とかなることが多いのだから。それに、視力は聴力などに比べても比較的若いころから老化しやすいし、私もそうだが近視や乱視の人は多いから、老化による劣化は大幅に助長されることが多いということになる。

このような意味で視力自体や眼精疲労の医学はもちろんだが、環境的な問題、とくに視覚メディア、中でも文字を主体とする視覚メディア、端的に言ってPCディスプレイへの取り組みはその重要性から言って、日本のみならず世界的にも、他の分野に比べて大幅に遅れを取っているのではないかと思う。

私くらいの年になると、すでに若いころから、周辺には、歳をとって視力が落ちたために本を殆ど読まなくなったという人も多かった。今となっては私自身、もうその人たちの年齢を超えているから、当然その状況はよくわかる。今もPCを使って文字を読み書きする仕事をしているけれども、本当に日ごとに眼が疲れやすくなり、1日に作業に耐えられる時間も大幅に減っている。年齢の近い身内や友人知人たちも当然そのようになっている。特に、本はまだしもパソコンの画面はもう見なくなったという人は多い。もっとも、元来がパソコンを日常的に使っていたという人たちではないのだけれども。

本とパソコンを比べると、当然パソコンの方が格段に目が疲れるというのは常識というよりも、殆どの人にとって体験済みの事実で、直観的にも自明ともいえる。しかし小さなスマホや携帯電話や、逆に大画面のテレビなども、原理的にはパソコンの画面と同じ性質を持つものなのだが、目の疲れ具合や使用感は異なっている。例えば私とかなり年の離れた姉はもう80歳くらいだが携帯のメールは結構よく使っているみたいで、タブレットPCも時にはみているらしい。私は逆に使いかっての点でPCメールに慣れているから携帯メールは苦手で、使うときは苦労するし、多少長文になるとPCから転送して使うこともある。ただ、携帯やスマホの画面自体は文字でもPCで作業するときよりも目が楽である。大画面のテレビはそもそも文字を見ることは主目的ではないし、見る距離も離れている。

というわけで目の疲れと劣化に最も寄与しているのがパソコンディスプレイであることは確実といえるが、他方、紙の印刷物に比べて文字をいくらでも大きくできることや明るい画面で見られるということで、一面では目に優しい面もあるといえるのは皮肉ともいえる。いずれにしても文字の読み書きが主体になる作業では現在でも依然としてパソコン画面が最も大なる視力劣化の元凶であることに間違いがなく、それがために多くの人にとって年を重ねるにしたがってパソコンがもたらす恩恵から遠ざからざるを得ない状況が生じているのである。それにも関わらず、業界も政治家も本気でこの問題に取り組もうとしていないのではないかと思わざるを得ないのである。

最近、有名なオーディオ評論家がネット記事で有機ELのテレビを比較評価し、また有機ELの優位性を喧伝している記事を見て興味深かった。ある程度はすでに知られていることだったが、有機ELは基本的に明るさでは現状で液晶に比べて劣っているものの、ダイナミックレンジでは圧倒的に優れている、つまり黒が本当に真っ黒に表示できるという点で圧倒的に優れ、それがまた解像感や立体感、つまり奥行きの表現力にもつながっているということなのである。

このように明るさではそれほどでもないがダイナミックレンジで優れているという点は、本当のところテレビ以上に、PCディスプレイに望まれる特徴ではないのだろうか?

PCディスプレイで目が疲れるのはやはり、何といっても画面が明るすぎるからである。表面反射の問題もあるが、有機ELとの比較でいえば、端的に言ってダイナミックレンジが狭いからということになろう。つまり液晶では白い部分を暗くすると、文字の黒い部分とのコントラストが低下するから明るくせざるを得ないということになる。こうしてみると、有機ELの、明るさは十分ではなくとも黒が真っ黒に表示できる性質は、PCディスプレイに使うことによって、大幅に目の健康に寄与できると思うのである。これは大画面テレビの画質向上よりもはるかに有意義な使い方で、開発も優先すべきではないかと思うのである。

繰り返しになるが、PCディスプレイが目を疲れさせる原因の基本は白が明るすぎることに尽きるのではないか。数年前からブルーライトの弊害が喧伝され始めたが、結局ブルーライト対策などそれほど有効ではないか、そもそも有効になるほどだと画面の色調が変に変わってしまうので実用にならない。ブルーライトの有害性というのは確かにあると思う。例えば目に良いといわれる植物葉緑素の性質を調べてみると、確かに青色光線の吸収が大きいことに気づく。もう数年前になるが、それに気づいて急いで観葉植物を購入してPC周りに置いたりし始めたが、それでPC画面を見ずに済むわけではないのでほんの気休め、ブルーライト保護シートも同じようなものだろう。

ハードとソフトのメーカーも、これまでどこまで本腰を入れてこの問題に取り組んできたのだろうか?
かつてはホームページの背景なども目の保護を慮って色やテクスチャーをつけるのが一般的だったように思うが、今はポータルサイトや企業のホームページの殆どは背景が白になっている。個人設定で背景色を選択できる場合もあり、ファイアフォックスでも多少は設定できるが、個人的に使えるような色が少ないし、どのページでも有効に使えるわけでもない。ソフトウェアについてもそういう傾向があり、例えばこれまで普通の黒い文字が使われていたメニューや設定項目などに見づらい灰色の文字が使われていたりする。やたらに見栄えを目新しくしたいという意図だけを見るのは思い過ごしだろうか?

ウィンドウズのフォントについてもそういうことが言える。例えばMS明朝は白っぽくて大いに目の疲労に寄与している。だから用途によってMSゴシックを使用するが、ごつごつして流れが感じられず、美しくない。他のフォントも使えないこともないが、これらが標準として通用してしまっているからどうしても使わざるを得ない。

キーボードにもそういう傾向がある。最近はなぜか黒いものが主流になっているようだ。白いものもなくはないので白いのを選ぶと、文字が灰色になっていたりする。どうしてわざわざこんなところでデザインをいじるのだろうか?普通の本の文字を灰色にしたりするだろうか。そんなことをしたところで美しいデザインにはつながっていないように思う。


・・・・・・・・・・そんなわけで、当面、個人的には有機ELに大いに期待しています。その他、当然ですが眼の医学を含め、高齢者にも若い人にも関係なく眼に優しく、眼が疲れずに読み書きできる社会が到来してほしいものです。これも夢物語なのかな。