水曜日, 3月 10, 2021

ある噂(新型コロナウィルス関連の)の、ひとつの真相


 少し前、大阪府の身内者と電話話をしたとき、知り合いの掛かりつけのお医者さんがコロナで死んだという噂があって非常に怖がっている様子だったので、近くに住んでいる親戚の者にラインで確認してみたら、その話は「デマでした」という返事で、まあ一安心した一件があった。しかし身辺でもそんなデマが飛び交っているということ自体は余計に大きな心配事ではあった。つい先日、当地へ帰省した際にもう少し詳しい実情を聞くことができた。

 今回の話では、後で分かったところによると、「コロナで死んだ」とされたお医者様の診療所の玄関に「新型コロナに感染したので15日間休診します」という趣旨の張り紙があったというだけの話らしかった。誰かがそれだけで、「コロナで死んだ」と言いふらしたらしいので、これもその日に聞いたところでは、あとからそれを言いふらした人は平謝りだとのことである。とはいえそれが誰であるとか、誰に平謝りであったのかまでは具体的な話は聞けなかった。

15日間の休診後に受診に行ったある人が「先生、大丈夫ですか?」と聞いたところ、その先生は笑って「何もないない」とこともなげに答えたらしい。それが本当なら、おそらくそのお医者様はただPCR検査を受けて陽性と診断されただけで、症状もなかったのではあるまいか、というのが私の推測である。というのも、昔から風邪をこじらせたりすると結構大変で、私の子供の時や若い頃の経験から言っても一月間くらいは咳が出続けたり、頭痛が続いたり、といった経験は少なくないので、それを思えば当のお医者様も何の症状もなかった可能性は高いと思われた。

以上は4人で話をしていたときのことだが、その中の一人はそれでもまだ「コロナ」を怖がっていて、ワクチンを打ちたいとまで言っていた。というのも仲の良い友達がワクチンを打つ気になり始めたらしいのである。もともと彼女は物事を大げさにとらえ勝ちの感情的な人だから、こういうこともあり勝ちで、他の会話メンバーはそうでもなかった。とはいえ、休診の貼り紙を見ただけでお医者様がなくなったと思い込んでしまった人物もそれに輪をかけて情報に過剰反応していたのだから、こういうことはいたるところでありそうで、いわゆる流言飛語の力を痛感すると同時に、マスコミ情報との相乗効果に改めて恐怖を感じてしまうのである。

ちなみに、

本記事では「真相」というタイトルを使ったが、もちろんこれは私にとっての、あるいは私が感じ取ったところの、私が伝える真相であり、抽象的な事実といったものではない。ところが最近は事実を英語のファクトという言葉で置き換え、抽象的な「事実」というものがあるかのような表現が、マスコミやツイッターなどのネット空間で横行しているのが、非常に気がかりなのである。そうして「ファクトチェック」といった客観性あるいは権威性を装うような概念や「ファクトチェックサイト」というような、何らかの権威を持つかのようなウェブサイトのネーミングなど、言葉の問題として危惧されるのである。